第11回 核酸代謝(2)(基礎生化学講義)

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1 第11回 核酸代謝(2) 日紫喜 光良 基礎生化学講義 2009.6.23

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2 核酸代謝(2):概要 デオキシリボヌクレオチドの生成 プリンの分解 尿酸の生成 痛風 ピリミジン代謝

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3 デオキシリボヌクレオチドの生成 リボヌクレオチド RNA(リボ核酸)の成分 塩基+リボース+リン酸基 =リボヌクレオシド+リン酸基 デオキシリボヌクレオチド DNA(デオキシリボ核酸)の成分 塩基+デオキシリボース+リン酸基 =デオキシリボヌレオシド+リン酸基

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4 デオキシリボヌクレオチド合成の場合 リボヌクレオシド合成との最大の違い: スタートが2’-デオキシリボヌクレオチド。 リボヌクレオチドリダクターゼによって、リボヌクレオシド二リン酸から生成。 リボヌクレオシド二リン酸とは: ADP (アデノシン二リン酸) CDP (シチジン二リン酸) GDP (グアニジン二リン酸) UDP (ウリジン二リン酸) 細胞周期のS期に合成される。

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5 リボヌクレオチドからの変換 リボヌクレオシド二リン酸 デオキシリボヌクレオシド二リン酸 リボヌクレオチドリダクターゼ チオレドキシン(還元状態) チオレドキシン(酸化状態) チオレドキシンレダクターゼ dATP イラストレーテッド生化学 図22.12 リボヌクレオチドリダクターゼはdATPのほかに、ヒドロキシ尿素によっても阻害される。

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6 デオキシリボヌクレオチド生成の調節 デオキシATP(dATP)によるリボヌクレオチドレダクターゼの阻害 アロステリック部位(活性部位)に結合 4種類のヌクレオシド二リン酸(ADP, GDP, CDP, UDP)の還元を阻害 dNTP(NはAまたはGまたはT)によって、リボヌクオチドレダクターゼの基質特異性が変化する。 基質特異性部位に結合 例:デオキシチミジン三リン酸(dTTP)が結合すると、GDPをdGDPにする反応が促進する。

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7 リボヌレオチドレダクターゼの調節 活性化部位 基質特異性部位 ATP:活性化 dATP:阻害 ATP, dATP, dTTP, dGTPは、特定のリボヌクレオチドの還元を調節する。 リボヌクレオシド二リン酸(NDP) デオキシリボヌクレオシド二リン酸(dNDP) R1サブユニット と R2サブユニット から成る 図22.13

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8 食餌中のプリン体の分解 胃 低pHによって、DNA、RNAが変性する。 ヌクレアーゼ オリゴヌクレオチド 膵 フォスフォジエステラーゼ モノヌクレオチド ヌクレオチダーゼ ヌクレオシド ヌクレオシダーゼ ピリミジン プリン 小腸粘膜細胞 プリン→尿酸→尿に排出 食餌からのプリン体の多くは、利用されずに尿酸として排出される 糖(リボース、デオキシリボース) 小腸粘膜細胞で吸収 図22.14

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9 尿酸の生成 PRPP 5’-フォスフォリボシルアミン IMP AMP アデノシン イノシン ヒポキサンチン キサンチン グアニン グアノシン 尿酸 グルタミン グルタミン酸 H2O NH3 H2O Pi H2O NH3 H2O Pi GMP Pi リボース1-リン酸 H2O Pi Pi リボース1-リン酸 O2 + H2O H2O2 H2O NH3 O2 + H2O H2O2 [1] [1] [2] [2] [2] [3] [3] [4] [5] [5] 図22.15より

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10 尿酸の生成 [1] アミノ基の除去 AMPデアミナーゼ アデノシンデアミナーゼ [2]ヌクレオシドの切断(リン酸基の除去) 5’-ヌクレオチダーゼ [3]プリン塩基の切断(糖の除去) プリンヌクレオシドフォスフォリラーゼ [4]グアニンの脱アミノ反応 グアナーゼ [5]ヒポキサンチンの酸化(→キサンチン→尿酸) キサンチンオキシダーゼ

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11 尿酸代謝障害 痛風 血中尿酸濃度が上昇→尿酸ナトリウムの結晶が関節や結合組織に蓄積→炎症、痛み 痛風結節 尿酸腎結石 痛風結節 図22.16

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12 関節穿刺と関節液中の尿酸結晶 関節穿刺:滅菌した注射針と注射器で関節液を吸引する 関節液中の尿酸ナトリウムの結晶 図22.17 図22.18

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13 痛風の原因 尿酸の排泄障害 原因不明の要因 腎臓の要因(乳酸性アシドーシス) 薬剤(サイアザイド(利尿薬)など) 鉛中毒 尿酸の過剰生成 原発性高尿酸血症:原因不明 プリンの合成経路の異常(例:PRPP過剰生成) サルベージパスウェイの異常→PRPP過剰生成 血液疾患や化学療法中の患者→細胞の入れ替わりが激しい その他の代謝疾患

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14 サルベージパスウェイ 合成した核酸の代謝、または、摂取した核酸の利用によって、プリンを再利用する ヒポキサンチン IMP グアニン GMP アデニン AMP PRPP Pi PRPP Pi PRPP Pi ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ

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15 LESCH-NYHAN症候群 X染色体性劣性遺伝(MIM: 300322) ヒポキサンチンーグアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT1)の変異による機能喪失 PRPPの蓄積、IMP, GMPの生成低下→プリンのde novo合成の亢進 尿酸の過剰生成 神経症状(自傷、不随意運動など)

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16 食餌性の二次性高尿酸血症 原因: 過度の飲酒、過食など リスクを増やす食餌:肉、魚介類の大量摂取 リスクを減らす食餌:低脂肪食

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17 痛風の治療 短期的:炎症の抑制 ステロイド コルヒチン(細胞分裂を抑え、白血球が病変部に浸潤するのを防ぐ) 長期的:プリン摂取量の制限 薬物療法 アロプリノール:ヒポキサンチンから尿酸が生成されるのを阻害

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18 アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症 アデノシン蓄積→細胞のキナーゼによって、ATPまたはdATPに変換→dATPがリボヌクレオチドレダクターゼ阻害 白血球が分裂・増殖不能になる 免疫不全 TならびにBリンパ球の両方とも 未治療の場合、2歳までに死亡 骨髄移植で治療

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19 ピリミジンの生成と分解 ピリミジン環を構成する元素の由来 CO2 グルタミンのアミド基の窒素 アスパラギン酸 図22.19

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20 ピリミジンの生成経路 図22.21

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21 ピリミジンの生成経路 2ATP + CO2 + グルタミン カルバモイルリン酸 カルバモイルアスパラギン酸 ジヒドロオロチン酸 オロチン酸 オロチジン5-一リン酸 (OMP) ウリジン5-一リン酸 (UMP) 2ADP + Pi + グルタミン酸 カルバモイルリン酸シンターゼ II アスパラギン酸 Pi H+ H2O NAD+ NADH + H+ PPi PRPP CO2 オロチン酸ホスフォリボシルトランスフェラーゼ OMPデカルボキシラーゼ (UMPシンターゼ) (UMPシンターゼ) ATP, PRPP 促進 UTP 阻害 UMPシンターゼの機能低下→オロチン酸尿症 (低成長、貧血、オロチン酸尿) ウリジン投与で改善 (CPS II)

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22 カルバモイルリン酸シンターゼ I (CPS I)との比較 図22.20より

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23 シチジン三リン酸(CTP)の生成 グルタミン グルタミン酸 UTPから作る CTPを生成 CTPシンターゼ 図22.22

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24 チミジン一リン酸(TMP)の生成 dUMP dTMP ジヒドロ葉酸 テトラヒドロ葉酸 N5,N10-メチレンテトラヒドロ葉酸 NADPH + H+ NADP 5-フルオロウラシル 5-FdUMP 阻害 ジヒドロ葉酸レダクターゼ チミジル酸シンターゼ メトトレキセート 阻害 図22.23より

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25 ピリミジン環の分解 プリン環と異なり、開環して分解される β-アラニン、β-アミノイソ酪酸(どちらも可溶性)→アンモニアとCO2

Tags: 東邦大学 情報科学科 日紫喜 基礎生化学

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