第12回 インスリンとグルカゴンによる代謝の制御 (基礎生化学講義)

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第12回 インスリンとグルカゴンによる代謝の制御 日紫喜 光良 基礎生化学講義 2009.6.30

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概要 インスリン グルカゴン イラストレーテッド生化学第23章に相当

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肝・脂肪組織・筋・脳が代謝の主役 イラストレーテッド生化学 図23.1 相互に関連 ホルモンによって 自律神経系によって 血液中を循環する代謝物のレベルによって

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インスリン 図23.2 膵臓のランゲルハンス島 β細胞

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インスリンの構造 図23.3 A鎖とB鎖 ジスルフィド結合 プレプロインスリン プロインスリン インスリン 小胞体(ER)にて シグナルペプチド ゴルジ装置にて Cペプチド (SS結合形成) (SS結合) (活性を有する) Cペプチド:半減期長い

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インスリンが分泌されるまで 核 細胞質 ER ゴルジ 分泌顆粒 細胞外 mRNAの合成(転写) 核膜孔を通って細胞質へ リボソームでタンパク質合成(翻訳) N末端のシグナルペプチドによってERに輸送 (図23.4より) シグナルペプチドが膜を貫通 ペプチド鎖は内腔へ伸長し、プレプロインスリンを形成 シグナルペプチドが切り離されプロインスリンを形成 ゴルジ装置への輸送 Cペプチドを切断しインスリンを形成 分泌顆粒に 保存 エクソサイトーシスによってインスリンとCペプチドを放出

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インスリンの分解 インスリナーゼ 主に肝臓と腎臓に存在 インスリンの血中半減期:6分 Cペプチドはより長い半減期を持つので、インスリンの分泌を確認するための診断に用いられる。

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インスリン分泌の調節 肝臓での糖新生 組織でのグルコースの利用 グルカゴン インスリン 促進 促進 血糖値 コントロール

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グルカゴンとインスリンの拮抗する効果 図23.5 高炭水化物食を摂取後の、血糖(上)、インスリン(中)、グルカゴン(下)の変動 インスリンの分泌は、血中グルコース濃度の増加がひきがねとなって起こる

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インスリン分泌を刺激/抑制するもの 刺激するもの 血中グルコース濃度の上昇 アミノ酸 とくにアルギニン 胃・腸管ホルモン コレシストキニン(CCK)、GIP 抑制するもの 血中アドレナリン濃度の上昇 交感神経の刺激によって副腎髄質から分泌

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β細胞からのインスリン放出の調節 図23.6などより 毛細血管 肝臓へ インスリン合成(転写、翻訳、翻訳後修飾) 分泌顆粒のエクソサイトーシス グルコース アミノ酸 グルコース トランスポーター グルコキナーゼによるリン酸化 グルコース濃度の上昇を検知 アドレナリン + + - -

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代謝へのインスリンの効果 炭水化物代謝:エネルギーの貯蔵(肝、筋、脂肪組織) グリコーゲン合成の増加(肝、筋) 血中からのグルコース取り込みの増加(筋、脂肪組織) 糖新生とグリコーゲン分解の抑制(肝) 脂質代謝 トリアシルグリセロール(TAG)分解の減少 TAG生成の増加 タンパク質合成の増加

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インスリン作用のメカニズム 図23.7より レセプターチロシンキナーゼの活性化 インスリンレセプター βサブユニットの自己リン酸化 3.レセプターチロシンキナーゼが他のタンパク質(たとえばInsulin Receptor Substrate (IRS)をリン酸化 4.多くのシグナル伝達パスウェイを活性化 5.生物学的作用を発揮 α鎖とβ鎖 インスリンが結合

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活性化されるシグナル伝達パスウェイ Insulin Receptor Substrate (IRS)のリン酸化から始まる

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インスリンの細胞膜への作用 (筋、脂肪組織) インスリンの結合 グルコーストランスポーター(GLUT-4)の動員 グルコース取込増加 インスリン濃度→動員解除→細胞内プールに戻る Vesicleが結合しエンドソームを形成

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各組織でのグルコース輸送の特徴 インスリン感受性 インスリン非感受性 能動輸送 促進輸送(作られた濃度勾配に従った拡散) 多くの組織(筋、脂肪組織など) 赤血球 白血球 レンズ 角膜 肝臓 脳 小腸上皮 腎尿細管 脈絡叢 図23.9より

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インスリンの分解 レセプターに結合したインスリンは細胞内部に取り込まれて、リソゾームで分解される。 レセプターは再利用される。

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インスリンの作用の経過 数秒以内:グルコーストランスポーターによる細胞への取込の増加 数分から数時間:すでに存在するタンパク質のリン酸化状態の変化 数時間から数日:代謝に関係する酵素タンパク質の産生の増加(グルコキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、ピルビン酸キナーゼなど)

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グルカゴンのはたらき インスリン 図23.10より グルカゴン アドレナリン グリコーゲン分解 糖新生 ケトン体産生 脂肪分解 抑制 亢進

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α細胞からのグルカゴン分泌の調節 図23.11などより 毛細血管 肝臓へ グルカゴン合成(転写、翻訳、翻訳後修飾) 分泌顆粒のエクソサイトーシス グルコース アミノ酸 グルコース濃度の上昇 アドレナリン - + + グルコース濃度の低下 +

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グルカゴン分泌促進の要因 血中グルコース濃度の低下 夜間など、絶食時 アミノ酸 インスリン分泌による急激な血糖の低下を防ぐ アドレナリン 交感神経が副腎髄質を刺激 ストレス時

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グルカゴン分泌を抑制する要因 血糖の上昇 インスリン分泌

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グルカゴンの代謝への効果 炭水化物代謝:肝臓への作用 グリコーゲン分解の亢進 糖新生の亢進 脂質代謝:脂肪組織への作用 脂肪分解の亢進→血中脂肪酸の増加 →肝臓でのケトン体の産生亢進 タンパク質代謝:肝臓への作用 血中からのアミノ酸回収の亢進 →糖新生の亢進 →血中アミノ酸濃度の低下

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グルカゴン作用のメカニズム(1) 図23.12より グルカゴン アデニル酸シクラーゼの活性化 cAMP グルカゴンがレセプターに結合 細胞質側のアデニル酸シクラーゼを活性化 ATPからcAMPを生成

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グルカゴン作用のメカニズム(2) 図23.12より cAMP依存性プロテインキナーゼの活性化 特定の酵素をリン酸化 酵素を活性化または不活性化 生物学的作用 活性化(例):グリコーゲンフォスフォリラーゼ(肝) 不活性化(例):グリコーゲンシンターゼ(肝)

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低血糖時の反応(1) 図23.13より 血糖 (mg/dl) <85mg/dl: インスリン分泌低下 <68mg/dl: アドレナリンとグルカゴンの産生が増加 <66mg/dl: 成長ホルモンの産生が増加 <60mg/dl: コルチゾールの産生が増加 <55mg/dl: アドレナリン性症状が出現 不安、動悸、振戦、発汗 <50mg/dl: 神経性糖欠乏症が出現 頭痛、せん妄、発語不明瞭、痙攣、昏睡、死亡

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低血糖時の反応(2) 図23.13より 強度の低血糖(<40mg/dl)刺激 視床下部の血糖調節中枢 下垂体 アドレナリン作動性自律神経系 ACTH 副腎皮質 コルチゾール 副腎髄質 アドレナリン 膵臓 グルカゴン ノルアドレナリン

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低血糖の種類 インスリン誘発性 インスリン治療中の患者におきる。最も頻度高い。 グルカゴンの注射が必要 食後低血糖 インスリンの大量分泌、 空腹時低血糖 比較的まれだが、肝機能低下やインスリン産生腫瘍に伴って起こることがある。 アルコール性 NADH過剰状態→オキサロ酢酸、ピルビン酸の減少→糖新生の抑制 インスリン使用中の患者ではとくに危険

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アルコールによる糖新生の阻害 エタノール非摂取時 エタノール摂取時 NADHの増加により、糖新生の中間代謝物が減少し、糖新生が抑制される。 エタノール代謝により、肝細胞の細胞質にNADHが増加 ジスルフィラム 図23.15

Tags: 東邦大学 情報科学科 日紫喜 基礎生化学

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