第14回 糖尿病(基礎生化学講義)

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第14回 糖尿病 日紫喜 光良 基礎生化学講義 2009.7.14

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構成 糖尿病(「イラストレーテッド生化学第25章)

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糖尿病とは インスリンの相対的、もしくは絶対的な不足に起因する、 空腹時の血糖値上昇で、 さまざまな疾患からなる症候群

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1型糖尿病と2型糖尿病 図25.1より

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1型糖尿病 膵臓β細胞での自己免疫障害 絶対的なインスリン欠乏 機能するβ細胞が存在せず、血糖の変化への対応やインスリンの基礎分泌の維持が不可能 初期段階:遺伝的素因を持つ人がウイルスや毒素にさらされることでβ細胞の崩壊が始まる ゆっくりとしたβ細胞の破壊段階: 臨床的な糖尿病段階:インスリン分泌能力が閾値以下にまで低下し、I型糖尿病の症状が突然出現する。 図25.2も参照

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1型糖尿病:診断 小児期や思春期に発病、症状が急速に進行。 多尿、多飲、多食 疲労、体重減少、脱力感 空腹時血糖値(FBS)>125 mg/dl 血中抗ランゲルハンス島抗体

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1型糖尿病:代謝変化 高血糖症とケトアシドーシス:血中のグルコースとケトンの高値 インスリンの低下→肝臓での糖新生増加、筋・脂肪でのグルコース取込低下→高血糖 インスリンの低下→脂肪組織での脂肪酸の動員が増加→肝臓での脂肪酸のβ酸化、ケトン塩(3-ヒドロキシ酪酸塩、アセト酢酸塩)の産生の促進→ケトーシス 25~40%に糖尿病性ケトアシドーシスが生じる 治療:水分と電解質の補充。低濃度のインスリン投与→高血糖を徐々に正常に戻す 高トリアシルグリセロール血症 インスリンの低下→脂肪組織でのリポタンパク質リパーゼ活性の低下→キロミクロンやVLDLの増加

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1型糖尿病:臓器間の関係 図25.3

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1型糖尿病の治療:標準療法と強化療法 図25.4 赤矢印: 強化インスリン療法を受けた患者の平均グルコース濃度 青矢印: 標準インスリン療法を受けた患者の平均グルコース濃度 コントロールの目安:HbAic (糖鎖付加ヘモグロビンの一種)は全ヘモグロビンの約7% コントロールの目安:HbAicは全ヘモグロビンの8~9% 強化療法の目的: 長期にわたる合併症(網膜症、腎不全、神経障害)の減少

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強化療法に伴う低血糖症頻度の増加 図25.5 赤: 強化療法。青:標準療法。低血糖症の頻度が3倍にまで増加。 強化療法に伴う低血糖症の危険増大は、糖尿病性網膜症や腎障害といった長期にわたる合併症の発症を減少させるために正当化されると考えられている。 厳格な血糖コントロールと低血糖症との関係

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1型糖尿病における低血糖症 原因で最も多いのは過剰なインスリンによる低血糖症状。 ホルモンによる低血糖への対応経路も損なわれる。 グルカゴンも分泌されない アドレナリンのみ 病状の進行につれてアドレナリン分泌障害をひきおこす 糖尿病性自律神経障害→低血糖に対するアドレナリン分泌障害 「無自覚性低血糖症」:グルカゴンとアドレナリンの分泌能力欠損

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強化療法の禁忌 小児 低血糖発作が発達過程の脳に障害をもたらす危険性が高い 高齢者では、低血糖から脳や心臓の血管障害を招きやすいので、強化療法は一般的ではない。 強化療法は、少なくとも余命が10年以上あり、合併症を伴っていない場合に特に有益

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2型糖尿病 米国の糖尿病患者の約90% はっきりとした症状のないまま徐々に進行→一般健康診断で見つかることが多い 多くの患者は数週間の間多尿症、多渇症を呈する。 特徴:高血糖、インスリン抵抗性、インスリン分泌の相対的不全 生命の維持のためにインスリンを必要とすることは少ない インスリン分泌によるケトン体生成が抑制され、糖尿病性ケトアシドーシスの進行が遅い

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2型糖尿病:診断 高血糖症(空腹時血糖値>125mg/dL) ケトアシドーシスは少ない

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2型糖尿病:インスリン抵抗性 肝臓、脂肪、骨格筋などで通常にインスリン濃度に対する適切な反応性が低下 肝臓におけるグルコース産生の制御ができない 骨格筋や脂肪組織でグルコース取込が低下

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インスリン抵抗性と肥満 図25.7 正常なヒトと肥満のヒトの血中インスリン濃度と血糖値 肥満の人は血糖値を正常範囲におさめるために、より多くのインスリンを必要としている。

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2型糖尿病の発症の条件 インスリン抵抗性 β細胞の障害 インスリン抵抗性とそれに続く2型糖尿病の進行は、高齢者や肥満で運動しない人や、3~5%の妊娠糖尿病の女性でみられる。

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2型糖尿病:経過 1.糖尿病発症より10年かそれ以上先行してインスリン抵抗性が肥満の人で進行する。 2.2型糖尿病患者の初期には代償的高インスリン血症を伴うインスリン抵抗性がみられる。 3.続いて、インスリン分泌の減少と高血糖症の悪化という特徴をもつβ細胞の機能不全が起こる。

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2型糖尿病:血糖値とインスリン濃度の経過 図25.8 糖尿病の年数 血糖 インスリン分泌

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インスリン抵抗性の原因 脂肪蓄積そのものがインスリン抵抗性に重要 脂肪細胞が分泌する調節性物質 レプチン レジスチン アディポネクチン 肥満で起きる遊離脂肪酸の上昇

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β細胞の機能不全の要因 β細胞の機能不全:2型糖尿病の時間経過とともに高血糖を是正するのに十分なインスリンを分泌することができなくなること 遺伝的背景 グルコース毒性 遊離脂肪酸毒性

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2型糖尿病:代謝変化 肝臓、骨格筋、脂肪組織でのインスリン抵抗性の結果による 1.高血糖症 末梢におけるグルコース使用量の減少 肝臓におけるグルコース産生量の増加 ケトーシスはほどんどない 2.高トリアシルグリセロール症 脂肪細胞における、リポタンパク質リパーゼによるキロミクロン、VLDLの分解が不十分

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2型糖尿病:臓器間の関係 図25.10

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2型糖尿病:治療 目標:血糖値を正常とされる限界値以下に維持すること 長期にわたる合併症の進行を防ぐ 微小血管合併症(網膜症、腎障害) 大血管合併症(循環器疾患) 体重減少、運動、食事改善 血糖降下薬、インスリン療法

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2型糖尿病:慢性的経過 高血糖を是正するほど、合併症の頻度が低くなる 左図(図25.11)は、高血糖の改善の結果HbA1cが低下すると、網膜症の発症が低下することを示している。 厳密に血糖を制御する利点は、重篤な低血糖の危険が増大するという不利益を上回ると考えられている。 →強化インスリン療法

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2型糖尿病:予防 肥満と座位中心の生活により2型糖尿病の発症のリスクが高まる 図:25.12 青:ほとんど運動しない(<500kcal/週) 茶:中等度の運動(500~1999kcal/週) 緑:多くの運動(>2000kcal/週) 縦軸:2型糖尿病発症率(1万人・年あたり) 横軸:Body Mass Index (kg/m2)

Tags: 東邦大学 情報科学科 日紫喜 基礎生化学

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